この1年で進化を遂げたタイガー・ウッズ
2013年 アーノルド・パーマーインビテーショナル
期間:03/21〜03/24 場所:Bay Hill Club & Lodge
決着の時を迎えるウッズとファウラー
フロリダ州のベイヒルクラブ&ロッジで開催中のアーノルド・パーマーインビテーショナル。最終日を目前に控えたリッキー・ファウラーは、少し特別なモチベーションを抱いている。
「メモリアル(ザ・メモリアルトーナメント)以来だ。少し借りが返せたらいいのだけれど」ファウラーは言う。
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それもそのはずだ。とはいえ、ファウラーがその願いを叶えるには慎重にならなければならない。
昨年の夏、ファウラーとタイガーは、ザ・メモリアルトーナメントの最終日にペアを組んだ。
その日のスコアは、ファウラーが「84」、タイガーが「67」。タイガーは17打差でファウラーを打ちのめし、優勝を飾った。
ベイヒルでの大会3日目、今回はファウラーが「67」で回った。そして、再びタイガーとペアを組む機会に恵まれたのだ。
2人は日曜日の最終ラウンドをペアで回る。
第3ラウンドを好調の「66」で回ったタイガーは、今季3勝目および同大会通算8勝目を狙う。
タイガー勝利の持つ意味は多大だ。今大会で優勝を果たせば、フェデックスカップのランキングでトップに立ち、5シーズンで首位を飾る初の選手となる。さらに、サム・スニードと並んで、同一大会8勝という記録を達成する初の選手にもなる。2010年10月30日以来となる、世界ランク1位にも返り咲く。
しかし、これらはいずれもファウラーが気にかけることではない。
「タイガーとペアになれて嬉しいし、僕も調子が良い。失うものは何もないという気持ちで挑む。後は結果がどうでるかだね」と、ファウラーは語る。
タイガーは、これまで第3ラウンドでリードを奪った場合、55回のうち51度(ここ最近では21回中20回)で優勝を飾っている。タイガーが強いのは言うまでもないが、ファウラーが勝利をものにする可能性も大いにある。
ファウラーは第3ラウンドを、6バーディ、1ボギーで回った。叩いたパットは24。ここまでの3ラウンドでは76で、誰よりも少ないパット数となっている。
ファウラーがグリーンオン66位であることを考えると、最後の数字は誤解を招くかもしれないが、大きな違いをみせる数字には、それだけの理由があると言える。
ファウラーにとって、タイガーは知らない間柄ではない。2人はジュピターにあるメダリストゴルフクラブを主に使用しており、共にプレーした経験も1度や2度ではない。しかもファウラーは最近、そこでメンバーゲストとして勝利しただけでなく、タイガーが参加したセミノールカントリークラブではプロメンバーとして勝利している。
「タイガー以上のライバルはいないだろうけれど、プレーをその場で見られるんだ。ここやトーレパインズ、ドラール(世界ゴルフ選手権)のように得意なコースでリードしているタイガーと一緒に回れる。他の選手ももちろんいるけれど、首位で迎えた最終ラウンドで、タイガーはまず負けることがないんだよね」とファウラー。
タイガーは、まず負けないという事実に加えて、3日目に素晴らしいプレーを見せた。特にこれまでのプレーを見れば、他のどんな選手でも勝つことは難しいだろう。
タイガーは、トップから4打差で3日目を迎えたが、フロント9中盤の4ホールで3バーディを奪うと、トップに立った。さらに10番ホールでもバーディを決め、首位を確固たるものとした。
この日、タイガーが崩れたのは12番ホールと13番ホールのみだった。12番では、ティショットを木に当ててしまい、OBから逃れてのパーだった。また13番では、2度バンカーにつかまり、ボギーを叩いた。
しかし、すぐに不安は一掃された。15番ホールのタイガーは、その日最高の見せ場だったと自賛する6番アイアンでの15フィートのバーディを決めた。さらには、パー5の16番では2オンに成功し、20フィートを流し込み、ファンを熱狂させると、お馴染みのガッツポーズも飛び出した。
タイガーは、1年前との違いを説明しながら、「自分のプレーをどう修正するかがわかったんだ。長い間苦しんだ。当時のスイングから今のスイングに変えたことは大きな変化だった」と語る。
「何回かミスショットをしてしまったけど、修正するのは難しくない。どこを直すのかが分かっているのは、すごく大きいね」と付け加える。
明日の最終日、タイガーとファウラーは、真っ向勝負に挑むことになる。それは、接戦になるとも言えよう。
もちろん首位争いに肉薄する選手は、他にもいる。ジョン・ハーやジャスティン・ローズは、ファウラーと同じ9アンダーで、2位タイ。この2人は、最後から2番目のグループでプレーする。そのすぐ下位には、1打差で6人がひしめいている。
しかし、ベイヒルを回るタイガーには、何とも言えない安心感がある。
だから自分の思い通りのパットができるのかもしれない。第3ラウンドのタイガーは、25パットで、1パットが11回あった。
タイガーは、スイングを変えて安定感が増しただけでなく、1年前よりも調子の良さを感じさせる。
1年前の当時、タイガーは世界ゴルフ選手権でアキレス腱を負傷し、大会を棄権している。
タイガーはこう語っている。
「今の方が精神面でも安定しているし、身体の状態もいい。それが大きいね」
「1年以上かけて自分のゴルフに磨きをかけた。その結果が出ているのだろう」
果たしてファウラーは、勝てるのだろうか?