【2R速報】石川遼は辛くも予選通過 タイガー43位タイ
2013年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:05/30〜06/02 場所:Muirfield Village Golf Club
父親となったハース、メモリアル・トーナメントで一家の歴史の1ページを刻めるか
Helen Ross, PGATOUR.COM
ビル・ハースの妻ジュリーには伝えないように。彼女は今自宅で生まれたばかりの子供と過ごしているのだ。それなのに夫ハースは、今週ここ数夜、極上の睡眠を味わっている・・・。
言うまでもなく、大会中のハースが今、夜遅くにベッドから這い出して、赤ん坊のおしめを替えることはない。だが、ハースは、17日前に生まれたばかりの息子ウィリアム・ハーラン・ハースJr.君の写真と動画をたっぷりと携帯電話に保存し、妻へ溢れんばかりの感謝の気持ちを抱いている。
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「(赤ん坊に起こされながら)1人妻は大変な夜を過ごしているんだ。他に何かあるとしたら、家に帰れることより嬉しいことはない」とハースは言う。
だが先ず、ハースにはやるべき仕事がある。しかも、ここ2ラウンドまでのようなプレーを続けていけば、ハースは「ザ・メモリアル・トーナメント」の優勝杯をサウスカロライナ州グリービルの自宅に持ち帰ることができるかもしれない。スーツケースに山盛りの洗濯ものを詰め込んで。
2011年の「フェデックスカップ」で優勝したハースは、大会2日目に「67」のロースコアをマーク。途中にバーディ、イーグル、バーディと連続で好プレーをみせ、現在は9アンダーだ。この日、マット・クーチャーはスコア「70」で終え、チャール・シュワルツェルとバッバ・ワトソンとカイル・スタンリーも現在3打差で2位タイに並ぶ。その上位を保ち、名門ウェイクフォレスト大学出身のハースが、米代表としてPGAツアー5勝目を挙げようとしている。
しかも、2位タイに並ぶ3人の選手は第2ラウンドを終えるのに翌3日目の朝に戻らねばならないが、その間もハースは眠っていられるのだ。2日目の前夜は悪天候により大会は3度中断された。最後の中断は現地米東部時間の午後7時7分。中断を余儀なくされたシュワルツェルは16番ホール、ワトソンは15番ホール、スタンリーはさらに前の14番ホールから再開せねばならない。
今週のハースは、ずっと落ち着いて見える。直近2大会の「ウェルズファーゴ選手権」「ザ・プレイヤーズ選手権」では、妻ジュリーの陣痛が始まるかというところで、いてもたってもいられない状況だった。両大会ともに予選落ちしてしまったが、5月13日、31歳のハースは父となり、心配ごとから解放され、今大会でこうして復活劇をみせている。
「この2週間はいい休みになった。息子も生まれたしね」ハースは日焼けした顔に満面の笑みを浮かべて語った。「家で妻とすごく楽しい時間を過ごした。3週間前に2度目の予選落ちをした時より、精神的にもいい感じだと思う。それが良かったのか、ただ休んだのが奏功したのかわからないけれども・・・」と明かすと、「それに、優勝圏内にいるのはすごく嬉しいし、素晴らしいことだ。思うがままにプレーして、出来れば週の終わりにはみんなを驚かせて幸せをつかみとりたい」と優勝への意気込みを語った。
実のところ、今回ほど印象深い「ザ・メモリアル・トーナメント」もない。ハースは、もう数週間は自宅で休暇を取る予定だったかもしれないが、ジャック・二クラスがホストを務める今大会はプロになった時分から別格だ。ハースは、「決して忘れようもないことに、この大会にはハース家の歴史が染みついているんだ」と言う。
ハースの父ジェイは、ここでジャック・ニコラスに次ぐ単独2位となる、29度大会出場経験を持つ。また、9度の10以内という成績は大会の歴代最高記録だ。さらに、ジェイがここミュアフィールドビレッジでパー「68」を下まわったのは110ラウンド。同じく大会の歴代最高記録となっている。
オハイオ州の地元紙The Columbus Dispatchに長年勤めるボブ・バプティスト氏は、ハースに「もしもこの大会に最高選手のためのカテゴリーがあるとしたら、それは君のお父さんだろう」との意見を述べている。
しかし息子であるハースにとっては、ここでのプレーに頭を悩まされることは少なくない。今大会で最初の第2ラウンドでアンダーパーを記録したハースは、同じように第3、第4と60台のスコアで回ることができるのか。ビルはこれまで数多くのジャック・二クラスの関連するコースに出場してきたが、ベストは2008年の30位タイに留まる。
父ジェイが1993年に4位タイで優勝を目前にとらえた時、ポール・エイジンガーが3打差で上位につけていた。今度は息子がリードを奪い、ミュアフィールドでのハース家の歴史を塗り替える番だ。「個人的にここでは大きな成績を残すことができてはいないけれど、ここに戻ってくるのが大好きだし、毎年楽しみにしている。父がどれだけこのコースを気に入っていて、素晴らしいプレーをしたかが分かる場所だからね」。ハースは思いを馳せると、「週末も調子をキープして、プレーでいい思いをしたい。ただ好きだからというだけじゃなくてね」と語った。
「ザ・メモリアル・トーナメント」でのたくさんの思い出には、父ジェイのキャディを務めた時のこともある。当時大学生だったハースは、父の調子が良かったぐらいのことしか覚えていない。若いハースは、いくらか余計にお金を使ってキャディのビブと大会の帽子を買ったという。「特に帽子が好きというわけでもなかったんだ」ハースはにんまり笑うと、「50ドルやるから帽子とサンバイザーどっちがいいと聞かれて、両方が欲しいって言ったよ」と思い出す。
ハースは、今や大金を稼ぐために同じコースに立つ。生まれたてのウィリアム君が一家の道のりを歩むのも時間の問題かもしれない。いつか父ビルのゴルフバッグを担ぐ日が来るのではないだろうか。すると、ハースは、「まださすがに想像できないよ。もちろんゴルフは我が家に受け継がれてきたことだし、あの子もそれを身近にして育つことは間違いない、いつだってね・・・。でも押しつけたくはないんだ。まあできれば息子が僕のキャディができるぐらいまでは選手としてがんばり続けたいよ」。
そのためにもまずは、息子ウィリアム君に優勝杯を持ち帰りたいことだろう。
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