<選手名鑑214>ジミー・ウォーカー(後編)
今季注目の成長株、R・ストレブ
ちょうど1年前のこの時期、ジミー・ウォーカーは年またぎのスケジュールとなった昨季開幕から4大会までにPGAツアー1勝、12位タイ、6位という成績を残し、100万ドルを上回る賞金を稼いでいた。
好スタートを切ったウォーカーはフェデックスカップランキング1位に浮上し、今年の8月まで同順位をキープ。「ライダーカップ」メンバーにも選出されるなど、大きな転機となる1年を過ごした。
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それを踏まえると、今季はロバート・ストレブの年になるかもしれない。
ストレブは開幕戦からの4大会で、優勝を含む3度のトップ10と好調を維持し、2ヵ月間のウィンターブレーク前最後の大会となる今週の「OHLクラシックatマヤコバ」に挑む。ストレブは既に100万ドル以上の賞金を獲得したほか、カパルアでの「ヒュンダイトーナメントofチャンピオンズ」、そして「マスターズ」出場権も手に入れた。さらにはフェデックスカップランキングでも1位に浮上。これだけを聞くと、1年前のウォーカーと酷似する。
ツアー参戦3年目のストレブ(27歳)は、「今季の終盤にプレッシャーを感じ過ぎなくて済む。良くない成績に終わったとしても世界が終わるわけではないけれど、良い成績を収める方が色々と楽にはなるからね」と言う。また、「これまでは今後出場する大会が決まるなんてことはなかったから、それが大きくな違いかな。『毎週良いプレーをしないといけない』とか、『入れ替え戦を戦わないといけない』とか考えなくて済むから」と話す。
昨季のウォーカーが残した成績と同様に、ストレブが一躍急成長を遂げる可能性もある。現時点でのストレブよりも、1年前のウォーカーのほうが洗練されたプレーヤーではあったものの、才能と努力無しで現在の位置に辿りついたわけではない。ストレブはNGAツアー(ミニツアー)で2年を過ごし、それからウェブドットコムツアーを経験し、PGAツアーシード権を獲得した。
ここまでの成績を見る限り、ストレブには弱点らしい弱点は見当たらない。ティショットは平均300ヤードを超え、パーオン率は73パーセント近く、パットのスコア貢献率では31位、そして平均スコアでも9位(69.337)という成績を残している。
優勝した「マックグラッドリークラシック」では、最終日に「63」を記録し、5打差を跳ね除けてプレーオフ(3選手)に持ち込むと、2ホール目にバーディを奪って初優勝を果たした。
「勝てるということを知って、もの凄い自信になった」(ストレブ)。
残した結果も去ることながら、優勝に至った過程も重要だった。最終日から3日前の初日、ストレブは最初のホールでフックショットを林に打ち込み痛恨のダブルボギーを叩いてしまい、予選通過も危ぶまれた。苦難を乗り越えて迎えたプレーオフ2ホール目、ストレブは第2打を8番アイアンに変え、カップまで1m弱に寄せることに成功し、初優勝を決めるバーディを奪った。
優勝から数週間経ってからも、本人は勝てたことにまだ驚いていると言い、最後のパットについては過去最高に緊張した1m弱の1打だったと振り返っている。だが、今週メキシコで開催される大会にはリラックスして臨めるようで、好成績を残せれば、フェデックスカップランキング1位を守って年を越せる。
「良いスタートを切りたいと思っていたんだ。そうすれば何週間か休めるから」と語るストレブは、今大会終了後に2ヵ月の中断を挟んで再開するツアーで、忙しいスケジュールをこなすようになるだろう。彼のような若い選手が、どの大会に出場するかを選べる立場になるのは、ツアーでも稀なことだ。
未体験のスケジュールともなるだけに、色々と勝手を掴む必要も出てくるだろう。そんな不安からなのか、本人は、「良いプレーをした大会に戻りたい気分だよ」と語る。
ただ、新たな経験となる「ヒュンダイトーナメントofチャンピオンズ」、そして「マスターズ」に関しては異なる様子。特に後者の大会は、オクラホマ出身のストレブにとっては、オクラホマ大とテキサス大によるフットボールの試合観戦と同じく、バケットリスト(やりたいことリスト)に入っていることだ。
来年の春、少なくともその内の1つにはチェックマークをつけられる。
「『マスターズ』に出場できるなんて最高だよ。大会前に1度か2度は(オーガスタナショナルで)練習しようと思っているんだ。1回目はコース全体のチェックをしたい。考えるだけで、とても興奮するね」。
2015年はさらに良い1年となる可能性もあるだけに、ストレブのプレーに注目したい。