PGATOURライターズ厳選・2014年ハイライト(6)輝いたフェデックスカップ
2014/12/27 06:30
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
それはアトランタのイースト・レイクGC、グランドスタンド裏、パー3の18番ホールのすぐ隣。ビリー・ホーシェルがたった今、「ツアー選手権」で優勝し、その結果フェデックスカップをも制したところだ。あるいは、数字に置き換えると、1,144万ドルを稼ぎ出したというべきか。
ホーシェルの両親は抱き合い、涙をこらえていた。ホーシェル一家は、ビリーがその後の記者会見で言った通り、「ティへ向かうブルーカラー」である。今回の偉業は、彼の両親であるビリー・シニアとキャシー、そしてホーシェル自身とキャディのマイカ・ファギットを含む周囲の人間によるハードワークの賜物である。
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ごく少数のレポーターがファギットの周りに集まり、彼の思いを聞き出そうとしていた。私が彼に「このタイトルは何を意味するのか」と問うと、沈黙が流れた。ファギットは、話すには余りにも感極まっており、思いをまとめるのに時間を要したのだ。それはロイ・フィアーストーン的なひと時だった。
その後、話せるようになったファギットは「彼は素晴らしいプレーをした。一日中落ち着いていたんだ」と述べた。ホーシェルがキャリア序盤に慌ただしく何人かキャディを代えた後、4年前からそのホーシェルのバッグを担いできた彼は、ホーシェルの扱い方を良く知っている。
ファギットはホーシェルの選手としての進化に一翼を担ってきた。彼らは2人ともスポーツが好きで、人間性が良く噛み合う。ファギットはいつホーシェルを落ち着かせ、いつ焚き付けるべきかを心得ている。2人はゴルフコースで多くの時間をともにしてきたため、感情が溢れ出ていたのだ。
1週間であのような現金を手にすると、人生はがらっと変わる。実際、ファギットは彼の分け前で家を購入している。しかし、溢れ出た感情は金銭によるものではない。それは旅路、そしてともにどこまで遠い場所へ辿り着くことができたか、ということなのである。
その後ファギットは、ホーシェルと組んだ当初、彼がその後勝ち取ることになるフェデックスカップについて抱いていた夢の話を聞かせてくれた。そのとき、彼らはそのフェデックスカップとともに、そこに立っていた。こうした話は作り上げられる物ではない。フェデックスカップを勝ち取ることに付随する何かの良さを本当に見極められる人がいるとするなら、それはホーシェル、彼の家族、そして彼のキャディとの繋がりいうことになるだろう。