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ブルックス・ケプカの激情「負けることは、耐えがたい」

「全米オープン」と「全米プロ」で2勝ずつ、PGAツアー優勝の半分以上のタイトルをメジャーで飾っているブルックス・ケプカ。他を圧倒するパワーを持ちながら、コースでは多くを語ることなくその素性のいくつかはベールで隠されている。世界最高峰のツアーで戦うトッププレーヤーが記すスペシャルコラム。ケプカ自身が幼少期からの歩みを振り返り、ライバルたちへの熱い思いを語った。

野球とバスケが好きだった

振り返れば、子どもの頃はあらゆることが大変に思えた。家族にそれほどお金があったわけではなく、僕は思うようにゴルフの大会に出られなかった。コーチを雇う余裕もなかった。与えられたものはなかったんだ。

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おそらく、だから幼少期は(お金のかかる)ゴルフに没頭しなかったんだと思う。正直言って、野球のほうがおもしろかったし、そんなに背が高い方ではないけれど、バスケットボールをプレーするのも好きだった。あの頃はゴルフ以外のスポーツに興味を持ったけど、結果的にゴルフに心血を注いだのは正しい選択だったと思う。

実はその点においては、弟のチェイスのおかげだと思っているんだ。一緒にコースに行って楽しむことを学んだ。それがゴルフをする上で一番大切なことだと思う。両親が僕たちを午前7時半に送ってくれて、家に帰るのは日が暮れる前だったのを覚えている。ルールに反しているけど、パッティンググリーンでこそこそロブショットをやっていた。

チッピングしてパターをして…。毎年夏はそんな感じで楽しんでいた。あの時間は夢のようだったし、今もあんな感じでできればいいのにと思う。いつか子どもができたら、コースに行って一日中プレーさせてあげたい。僕たちは様々な目的を持ってトーナメントで優勝しようとしているけど、ゴルフをすること自体が楽しいと今でも忘れてはいけないんだ。

かなわなかったライバル

ケニー・リーチという少年を覚えている。10歳くらいから知っている男の子で、素晴らしいプレーヤーだった。僕たちが大学に進学するまでの長い期間、彼にやられっぱなしだった。まるまる10年かな、僕は何度も心を折られた。彼を打ち負かした記憶がほとんどないんだから。

ただ僕は負けず嫌い。どんなことでもそうで、卓球、ビリヤード、ダーツ…と、なんでも負けることに耐えられない。負けると頭がおかしくなりそうになる。なんとしても、相手を倒す方法を見つけ出す。たとえ負けても、一度優位に立った状態に(精神的に)僕は立ち返ることにしていて、その心構えは今も僕に根付いている。

フロリダ州立大にいたとき、奨学金で残ったお金がいくらかあって、何度か試合に出た。大きな実績はなかったけれど、強い信念を持って試合に出場していた。その思いを僕はいつも持っている。物事がうまくいったり、いかなかったりしても自分を信じる力をいつも持ってきた。うまくいかない時はコースに残って、すべてが整うように努力してきた。その点に関しては、自分でもよくやってきたと感じている。

タラハシー(大学時代)は5回優勝したと思う。でも、いつも優勝していたわけでもないし、決して名プレーヤーでもなかった。一番でなかったことは確かだ。そうなると本当に勝ちたいという気持ちが湧いてくる。なれない自分にいつもなりたいと思う。1番でないことがモチベーションになったり、限界を超えさせる要因になると思う。2位とか3位とか、もっと悪い成績でフィニッシュすると、本当にイラついたし苦しかった。その競争心がいまも僕にはある。

歯に衣着せぬ態度

身体の状態がいいときはいつも全力で取り組んでいる。毎日、一日中練習する。ここ最近、調子が良くなかった時は何をどうすればいいのか、何時間もかけていろいろ考えていたよ。

基本的には家に帰るとソファーに座って、すぐに寝てしまうんだ。すべてのエネルギーをコースで注いでいるから何も残っていない。スポーツでは、アスリートはモチベーションを上げるための要素を探すということを聞いたことがあると思う。相手を打ち負かすモチベーションを、僕は些細なことからでも見つけようとする。一週間プレーをともにする相手でも、予選の2日だけ一緒に回る相手でもいい。ライバルに自分がどんな人間で、何ができるかを示したい。頭の中で“小さな勝負”を作り出すことを大切にしている。僕は誰かに、「キミには勝てない」と言われるのが大好き。ライバルたちの“間違い”を証明するのが楽しい。

僕は率直に物事を言うことで、ときに誤解されることがあるけど、真実を語らずにいられない人もいると思う。そこが大きな違いだと思う。良いプレーをしているか、悪いプレーをしているか、何が起きているかをどう自分で感じ取っているかを僕はみんなに素直に伝える。ただ、真実を好まない人も多い。そういう人は真実を聞きたくないか、自分の手に負えないかのどちらかなんだろう。

でも僕は見たままを伝えたい。コースで誰かが振舞っていれば率直にそう言うよ(とがめる)。僕は聞かれない限り、あまり語らないことのほうが多いけれど、思うことがあれば批判もするし、僕が間違ったことをしたら批判を受け入れる。自分の過ちは自分で認めるよ。

舞台がより大きく、脚光を浴びれば浴びるほど、僕は準備をしっかり整えて、戦う意欲がいっそう湧いて来る。大きな試合では違ったメンタリティを持たなくてはいけないと思う。いつもすべてに全力投球しているからこそ、周りが僕に対して(批判的に)言うことが間違っていると証明することに喜びを感じる。僕を本当に応援してくれているのは僕自身と家族だけ。他のみんなは僕をやっつけようとしている。

自分のキャリアでの今の立ち位置では、大きなタイトルで6勝し、何度も2位になることがとても簡単にできたように思える。PGAツアーではキャリアで25勝したい。それが一番の目標で、その次は「メジャー10勝」かな。

決して高い目標じゃないだろう? ここまで僕を導いてくれた競争心はこれからも変わらない。チェイスとケニーに感謝しなくちゃね。

情報提供:PGA TOUR

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