ニュース

米国男子マスターズの最新ゴルフニュースをお届け

2022年 マスターズ
期間:04/07〜04/10 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)

連覇かかる「マスターズ」 ゴルフ史における松山英樹の変わらない地位

2022年の男子メジャー今季初戦「マスターズ」は7日に開幕する。PGAツアーによるオリジナルコラムは今回、ディフェンディングチャンピオンの松山英樹にスポットライトを当てた。Chuah Choo Chiang氏がアジアのスターへの期待をペンに込めた。

12カ月前、アジアに初めて「マスターズ」制覇という歴史的な栄光をもたらしたゴルフの神は今再び、日本の松山英樹がタイトル防衛を体調万全で臨めるように呼び出された。

<< 下に続く >>

ジョージア州のオーガスタナショナルGCにおける歴史的価値を生んだ松山の勝利。それは、ゴルフを愛する彼の母国を絶頂へと導き、熱狂的なゴルファーを練習場へと向かわせた。彼と同じクラブを買い、彼のトレードマークである切り返しでの“一時停止”のモノマネも流行。“マツヤマ・マニア”現象が日本を席巻した。

日本が待ち望んだ初の男子メジャー王者の誕生。英雄として母国に凱旋した松山には、内閣総理大臣顕彰が贈られた。その後、日本で唯一開催されるPGAツアー「ZOZO選手権」と「ソニーオープンinハワイ」を制するなど、9カ月にわたり華々しいゴルフを披露したが、それも直近2試合に当たる3月初旬の「ザ・プレーヤーズ選手権」と先週の「バレロテキサスオープン」を首と背中の負傷により相次いで棄権したことで、突如として忘れ去られようとしている。

30歳はテキサスでの棄権について、オーガスタへの帰還へ向け、体を休め、全神経とエネルギーをそこへ集中させるためだと述べた。メジャー初戦へ向けた最高の準備とは言えないかもしれないが、1年前、ジョージアの青々とした芝に足を踏み入れた松山は、自身がその週にグリーンジャケットに袖を通すことになるとはこれっぽっちも思っていなかったはずだ。「マスターズ」前日の練習レンジで、何かが“ハマった”ことで、全てが変わったのを覚えている人もいるだろう。

昨年、最初の2ラウンドを松山と同組でプレーしたメキシコのアブラム・アンセルは、「69」と「71」をマークして週末のメジャーでのチャージへの足がかりを築いた日本のスターが予想外の不運でさえエンジョイしていたことを思い起こした。

「彼はかなり良いゴルフをプレーしているように見えた。とんでもない方へショットを曲げたときでさえ、バーディを奪う道筋を見つけていたし、その状況を存分に楽しんでいた。誰かが大事なパットを決めたり、大きく曲げたショットがフェアウェイに跳ね返ったりするのを見ると、そこに何か特別な力が働いているのが肌で分かるんだ」

ザンダー・シャウフェレは、メジャー初優勝をまたしてもニアミスで逃す苦難に耐えつつ、松山が「マスターズ」の歴史へ向かって邁進する姿を、最後の2ラウンドを同じ組で見ていた。自身の母親が日本で育つなど日本と密接なつながりを持っている米国のスター選手は、3日目の荒天による中断後、松山がフルスロットルで自分のゴルフのレベルを引き上げたのだと語った。

「正直、土曜は彼の日だった。中断明けのプレーは信じられないものだった。すごかったよ。とにかく彼は全てを完ぺきにやってのけた。あれは全てがハマった瞬間みたいなもので、そういうのがオーガスタや他のメジャーで起こると最高だよね」とPGAツアー4勝のシャウフェレ。「彼は土曜にそういう状態になり、日曜もそのままの状態で臨んだんだ」

松山の体調が100%であろうとなかろうと、彼が現「マスターズ」王者としてティアップし、痛みが耐え難くなるまでプレーするのは確実である。日本のアスリートは国旗を背負ってプレーすることを大きな誇りとするが、それは松山も同じである。

「マスターズ」での勝利は、彼が2011年にオーガスタナショナルでデビューを飾って以来、人生の目標となってきた。彼はオーガスタナショナル、R&A、そしてアジア太平洋ゴルフ連盟が極東でのゴルフの発展に寄与するために創設した「アジアパシフィックアマチュア選手権」の2011年大会を制覇し、翌年のオーガスタ行きの切符を手にした。しかも、この時、松山は開催国枠として、当初の6枠に加え、さらに4枠出場者が増えたことで、AACのフィールドに入るという、思いがけない幸運に恵まれたのであった。

「マスターズ王者になれたのは素晴らしいことでした。色々な大会で、マスターズ王者として紹介されるのは最高でした」と松山。「日本人初のメジャー優勝、特にそれをマスターズで達成できて、とても幸せです。これまでになく幸せです」

メキシコ出身のアンセルは言う。自身も毎週、自分の背負っている重みを十分に理解しているからだ。「信じられないね。彼はどこへ行っても、多くの人やメディアが付いて行くんだ。恐らく、あれ以上の人に囲まれて対応しているのは、タイガー(ウッズ)だけじゃないかな。僕は彼がどれくらいプレッシャーを感じているかは理解できる。日本にはこれまで2回行っているけれど、僕はあの国においてゴルフがどれだけビッグであるかを知っている。ヒデキは国全体にとっての絶対的なレジェンドなんだ。僕には、あのような大会に勝つことのデカさ、そしてそれが日本にとって何を意味するのか理解できる」

テキサスでの途中棄権を余儀なくされた週の前に、松山は記者会見で、自分に対して設定する期待値は、最終的にツアー8勝という彼の大きな成功への原動力になっていると語った。また、彼は「マスターズ」王者のみが占拠する部屋で、伝統のチャンピオンズディナーのホスト役として、メニューを決め、挨拶することにビクビクしているとも述べていた。

「楽しみにしているとも言えますし、良いプレーができればとも思っています。プレッシャーかどうかは別にして、自分への期待はあります」と松山。「チャンピオンズディナーも同じですね。僕は英語がうまく話せないので。もちろん、楽しみにしていますが、同時に、あの偉大な過去のマスターズ王者の前なので、自分がスピーチをすることにかなりナーバスにもなっています」

第86回「マスターズ」の開始が刻一刻と迫る中、日本のゴルフファンは、松山が体調万全でタイトル防衛に臨めるかどうか、固唾を呑んで見守ることになる。しかし、当の松山は1番ティで2021年「マスターズ」チャンピオンと紹介されるのを享受する以外、何かをしたり証明したりする必要はない。彼はすでに夢をかなえることについて、日本やアジアの子どもたちをインスパイアしてきた。今後、さらに何着かのグリーンジャケットを…とまでは言わないまでも、PGAツアーで多くの勝利を挙げることに疑いの余地はない。

今週、何が起こるかに関係なく、彼の名はすでにゴルフの歴史に刻まれている。

情報提供:PGA TOUR

関連リンク

2022年 マスターズ



あなたにおすすめ

特集

宮本卓×GDO 旅する写心
ゴルフフォトグラファー宮本卓×GDOのスペシャルコラボコンテンツ。国内外のゴルフ写真を随時更新中!!
やってみよう! フットゴルフナビ
サッカーとゴルフが融合した新スポーツ「フットゴルフ」の総合情報サイトです。広いゴルフ場でサッカーボールを蹴る爽快感を、ぜひ一度体感してみよう!

新着記事


ブラインドホールで、まさかの打ち込み・打ち込まれ!!ゴルファー保険でいつのプレーも安心補償!