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PGAツアーの変革はアジア出身ゴルファーに恩恵をもたらすか

PGAツアーは6月、2023年以降の大幅なスケジュール変更を発表した。エリート選手を対象にした試合の賞金増額や新規大会の開催、プレーオフシリーズがリニューアルされるほか、予選会や欧州ツアーからの“昇格”チャンスも増える。そんな新シーズンの開幕を秋に控え、すでに今年は下部コーンフェリーツアーでアジア出身選手が活躍。PGAツアーのオリジナルコラムでは今回Chuah Choo Chiang氏が次なるアジアのスターについて記した。

■下部コーンフェリーツアーのトップ25に4人のアジア勢

「タイミングこそすべて」とも言われかねないゴルフの世界。現在、下部コーンフェリーツアーから栄光のPGAツアーへの昇格を待つアジア出身の選手たちは、またとないチャンスに恵まれている。

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下部ツアーのレギュラーシーズンは佳境に入ったところ。賞金ランキング上位25人は自動的に来季のPGAツアーへの出場権を得るほか、それ以下の選手にもコーンフェリーツアーファイナルズ(入れ替え戦)で上位25位に入れば来季昇格のチャンスがある。そしてすでに、中国の袁也淳(ヤン・イェチュン)、竇沢成、韓国のアン・ビョンフンキム・ソンヒョンが秋からのPGAツアー行きを確実にしているのだ。

才能豊かな彼ら“カルテット”はそうやって手にした来シーズンが待ち遠しいに違いない。ツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハンは7月にスケジュールの大胆な変更を発表。レギュラーツアー8試合の賞金が平均で2000万ドル引き上げられ、フェデックスカッププレーオフのフィールドも、いっそうエリート選手(70人)に絞られることになった。さらに秋には3試合、フィールドが限定された予選落ちのない国際大会が3試合実施される。

■海を渡った日本勢にも期待

欧州男子ツアー(DPワールドツアー)との戦略的提携も強化されたことで、川村昌弘金谷拓実といった日本人選手にとっても、飛躍に繋がるチャンスが増えた。2023年以降のDPワールドツアーのポイントランキング上位10人はPGAツアーの翌シーズンのツアーカードを手にできるのである。

29歳の川村はここまで欧州で12回のトップ10入りがあり、金谷は世界アマチュアランキングで1位に立ってから、日本ツアーで優勝を重ね、欧州ツアーでもプロとしてのキャリアを進めている。彼の目標ともいえる松山英樹とともにPGAツアーを戦いたいというのも夢のひとつに違いない。また、現在のアマチュアナンバーワン、中島啓太も今年のプロ転向が期待されている。

■PGAツアーが誇る歴史と伝統

PGAツアーでプレーするアジアのスターはゴルフの歴史に名前を刻み続けている。松山は今シーズンもすでに2勝し、アジア出身選手として最多の通算8勝。チェ・キョンジュ(韓国)が樹立した記録に並んだ。イム・ソンジェイ・キョンフンも今季1勝ずつして、それぞれ通算2勝。

また、3月のフラッグシップイベント「ザ・プレーヤーズ選手権」ではインドのアニルバン・ラヒリが2位フィニッシュを決め、キャリアで最高の218万ドルを1試合で獲得した。通算3勝のキム・シウー(韓国)、1勝のC.T.パン(台湾)も、まだアジア人が頂点に立っていない、高額賞金がかかるプレーオフシリーズに向けて順調なパフォーマンスを見せている。

確かに来季は賞金額がアップされるが、通算21勝のロリー・マキロイ(北アイルランド)は、PGAツアーにはレガシーという別の戦う理由があると言及してきた。サム・スニードやアーノルド・パーマージャック・ニクラストム・ワトソン、そしてタイガー・ウッズといった過去のチャンピオンたちの名前が、何十年もの歴史を持つトーナメントの一部になっている。「僕にとってはそれこそ重要で、歴史や伝統に触れ、彼らと同じトロフィに自分の名前を刻むことに意義がある」

7勝をマークしているスペインのジョン・ラームも語る。「PGAツアーが持つ歴史と伝統にこそ心が揺さぶられる。(ニクラスがホストする)メモリアルで勝つこと、ベイヒルでアーノルド・パーマーの大会に勝つこと、ロサンゼルスやトーリーパインズ…そういった歴史的な場所で勝つことに意味を見出しているんだ」

■2022―23年シーズンは25歳の中国勢にも注目

袁也淳、竇沢成といった新たな選手たちには、億万長者になる機会はもちろんだが、そういった歴史を追うチャンスがある。袁は昨年、PGAツアーでプレーすることよりも「東京五輪」で母国を背負うことを優先し、米国での戦いを中断していた時期があった。

豊かな才能に恵まれた25歳は今年のコーンフェリーツアーで、わずか7試合で昇格を決めた初の選手。すでに7回のトップ10入りがあり、賞金ランキングでトップを走る「自分には力があると思っているし、大きな夢の前で恐れてはいけないと思っています」と言う。「去年(の下部ツアー)も良いプレーができて、何度か上位で終えられたことですごく自信がつきました。オリンピックに出たことに後悔はありません。個人的には、すべてのアスリートにとってオリンピックは目標のひとつだと思うのです」

彼と同い年の竇はPGAツアー再挑戦への準備ができている。デビューした2018年は23試合に出場し、決勝ラウンドには4試合しか進めず、下部ツアーに降格した。「今ほど自分が安定してゴルフができていると思えることはなかった。今なら彼らと戦えるはずです」

コミッショナーのモナハンはそれぞれのゴルファーが輝き、ファンを熱狂させ続けることを期待している。「PGAツアーのメンバーは歴史に名を残すために戦っている。もちろん、そこには経済的な利益を伴うが、彼らは道徳的に不十分なものと向き合う必要はない。純粋な競争こそが、歴史とのつながりやストーリーを作っていく。これこそがファンがスポーツやアスリートに期待しているもので、PGAツアーの良さなのです」。アジアの旗手となるべき選手たちはこれからも歴史の1ページを追い求める。

情報提供:PGA TOUR

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