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なぜ、2023年は「パターの年」だったのか(前編)

通常、ギア関連のニュースで最も注目されるのは、新しいドライバーであり、そこに搭載された宇宙時代のテクノロジーである。ドライバーの飛距離は、これまでにないほど重要視され、各メーカーは最新の製品に違いを生み出し、貴重な数ヤードの差を絞り出すため、飛距離アップに心血を注いでいる。

しかし、2023年に最も話題を提供したのは、その対極に位置する、最短のショットのために使用されるクラブだった。複数の選手がグリーン上での変化によりヘッドラインを飾った。今年のPGAツアーは、「パターの年」だった。

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カウンターバランスのオデッセイ バーサ ジェイルバードは、ウィンダム・クラークリッキー・ファウラー、そしてキーガン・ブラッドリーが使用し、シーズンを通して最も目を引いた優勝劇をアシストしたことで、今年における最もホットな話題となった。

1月に始まった(そして「ツアー選手権」まで続いた)パター変更の流れは、ロリー・マキロイスコッティ・シェフラージェイソン・デイルーカス・グローバーアクシェイ・バティア、ファウラー、クラークといったビッグネームに加え、ギアをほとんど代えないサム・バーンズでさえ大きな変更に踏み切ったことで、ニュースの中心に居続けた。

以下は、2023年に行われた主なパター変更のまとめである。

リッキー・ファウラー
かつて、ファウラーのゲームにおいてパッティングは強みだったが、長い間、勝利から遠ざかる期間が続くなか、昨年彼はストロークゲインド・パッティングのランキングを161位にまで落とした。彼は答えを見つけ出すため、あるいは少なくとも信頼できるパターを見つけるため、定期的にパターを変更した。

今年、彼は探し求めていた答えを見つけると共に、PGAツアー全体を巻き込むことになるパター変更の大きな流れを作った。

ファウラーは、「ザ・アメリカンエキスプレス」にて、カウンターバランスを実現させるため長めのスーパーストローク17インチグリップが装着されたオデッセイ バーサ ジェイルバードパターに乗り換えることで、「パターの年」の幕を切って落とした。

ファウラーは「ザ・アメリカンエキスプレス」を前にした日曜に、彼のキャディであるリッキー・ロマノのパターを試打したことで、このクラブへと辿り着いた。このパターをいたく気に入ったファウラーは、キャロウェイのPGAツアーマネジャーであり、かつてのパターレップであるジョー・トゥーロンに協力を求め、同じようなパターを組み上げるよう依頼した。

長いグリップ、ソールに貼られた大量の鉛テープ、そして寛容性向上を目的に設計された大型マレットパターヘッドのおかげで、ファウラーは組み上げられたバーサ ジェイルバードにより右手の余計な動きを少なくし、グリーン上で自信を深めることに成功した。

ファウラーは、「ここ数年、前の自分のように、あるいは自分の望むような感じでパットができていなかったんだ。自信という面から言っても、前まで常に感じていたフィーリングを感じられなかった。右手が、自信を持ってストロークできていないんだ。ただ、必ずしも何かを模索していたわけではない。僕は辛抱しながら、自分の通常の練習に取り組んでいたんだ」と述べた。

「これにはとてもショックを受けたよ。というのも、これまで一度も長めの物や、カウンターバランスみたいな物は試したことがなかったから。とても興味深いのだけど、ある意味、これは僕を自由にしてくれたんだ。ストロークやスタンスを変えたわけではないし、自分の持っている通常の長さのパターを使う時と握り方を変えているわけでもないからね。とにかく、何というか、これは僕のために何かを果たしてくれて、僕が考えなくても良いようにしてくれている感じがするんだ」

ファウラーは最終的に「ロケットモーゲージクラシック」で優勝し、4年にわたるPGAツアー無勝利期間に終止符を打つことで、パター変更の正当性を証明した。彼は現在、ストロークゲインド・パッティングで45位にランクインしており、昨年からの大幅な改善を見せている。

ウィンダム・クラーク
ファウラーによる成功の影響を受け、オデッセイ バーサ ジェイルバードパターに変更したPGAツアーの選手はクラーク一人に止まらなかったが、クラークは間違いなく最大の恩恵を受けた選手だった。

オクラホマ州立大学時代からファウラーのことを知るクラークは、ファウラーとのカジュアルなラウンドの中で、ファウラーのパターとパッティングストロークを気に入り、自分も同じ物を試してみたいと思った。

クラークはこのことについて、「僕らは彼の所属しているフロリダのメダリストで一緒にプレーしていたんだ。あれはベイヒルの前のことで、その頃、僕はパットの調子が良くなく、一緒にプレーしていたリッキーはほとんど全てのパットを入れていたんだ。ラウンド後、僕らは大会へ向けて少しだけ練習し、その時、僕は何球か試しに打たせてもらったのだけど、“うお、これかなり良いじゃん”ということになったんだ。それで僕はオデッセイの知り合いにテキストで、“ねえ、僕にリッキーのパターを作ってくれないかな?”って送ったんだ。そうしたら、彼は“じゃあ、スペックは?”と聞いてきたので、僕は“寸分たがわず同じ物”と答えたんだ。だから、文字通り、これは同じパターなんだ」と述べた。

クラークはパター変更後、「ウェルズファーゴ選手権」、そしてロサンゼルスCCでの「全米オープン」と、キャリアにおけるPGAツアー最初の2勝を手にした。また、彼は今年のフェデックスカップを3位で終えた。

ルーカス・グローバー
グローバーはそのキャリアを通じ、ツアーでも傑出したボールストライカーの一人として知られてきたが、10年に及ぶイップスとのバトルが、彼の妨げとなってきた。

しかし、2023年に入り、L.A.Bメッツ1マックスパターに乗り換えたグローバーは、グリーン上でのフラストレーションを消すことに成功した。この変更はシーズン最高のストーリーの一つとなり、「ウィンダム選手権」を制覇してフェデックスカップ プレーオフ行きを決めた43歳は、そのプレーオフ第1戦である「フェデックス セントジュード選手権」でも優勝を飾った。

「私は完全に新しいアイデアを必要としていた。完全に新しい脳の機能だ。他の物が上手くいかなかったのは明白だね。私は長い間、ショートパットに苦しんでいたんだ。自分自身に、何か別の手段を教え込む必要があると考えたのだけど、それはこれまでのところ上手く機能している。ひとたび立ち方やアドレスの方法を学んでしまえば、あとはほとんど勝手に機能してくれたんだ。これは良い変更となっている」と述べている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

情報提供:PGA TOUR

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