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ウェッジのヒミツは ホブランのギアをクラブフィッターが解説(後編)

ビクトル・ホブラン(ノルウェー)が25歳にしてフェデックスカップ王者となった。用具の変化を見てきたピンのツアーレップであるケントン・オーテスに話を聞いた。その後編。

GolfWRX.com:アイアンに関して、ホブランはブループリントSを試した上で、i210に戻したんですか?

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オーテス:そうですね。試しました。スコットランドに到着した彼に、我々はブループリントSアイアンを用意していました。彼はとても興奮していて(新しいアイアンの)見た目を気に入りましたし、地面の抜け具合もかなり気に入っていました。

しかしどういうわけか、木曜はベストプレーになりませんでした。彼はノルウェーでの休暇から戻ったところだったし、全てをアイアンのせいにすべきかどうかは分かりません。ただ、彼はi210アイアンに戻し、そのままシーズンを終えました。予想ですが、将来的に再びブループリントSをテストすると思います。

GolfWRX.com:彼にはなぜi210が合っていると思いますか?

オーテス:低重心、そして高いスピン量が理由だと思います。彼はかなりシャローに打つ選手で、時にスピン量が足りず、十分な高さの弾道を出せないことがあります。i210はその設計特性から、かなりスピン量が多く、真っすぐ飛ぶクラブでもあります。ビクトルは曲がり幅が小さく、飛距離を落とす際に曲がり幅を大きくして調整します。つまり、このアイアンは彼をストレートボールヒッターにするわけです。

GolfWRX.com:SNSの動画で、ビクトルがロブショットを打っていて、あなたも登場する映像を見たことがあります。それを見て、彼がチッピングやウェッジゲームでどれだけ大きな進化を遂げたかを再認識しました。彼はどのように進歩したのでしょう?あなたは彼のウェッジのバウンス、あるいはグラインドで何か異なる処置を行いましたか?

オーテス:かなり大きな進歩がありました。クラブフィッターとしての我々は、その点については脇役です。テクニックの向上に努力したのは、彼と(ホブランのコーチの)ジョー・マヨですよ。ただ、テクニックが変化する中で我々は常に関与し対処していますし、テクニックが変わったので、より多彩なショットが打てるようにしようと取り組みました。

動画を見ると、ウェッジのフェースがかなりオープンになっているのがわかると思います。(ボールが)地面に直に乗っていて(浮いていない状況で)完璧にコンタクトしています。アドレスでクラブを開いて構えたいのであれば、バウンスは小さい方がいい。開けば開くほど、バウンスが出ますから。この事実は、アマチュアの世界では、そこまで話題になりません。

中にはローバウンスのウェッジを使っている人もいますけど「あれはあの人には必要ない」と言えますし、「あの人はツアーのコンディションでプレーしているわけではないので必要ない」と言うこともできます。

フェースをかなり開く選手と言えばサヒス・ティーガラが思い浮かびます。彼はめちゃくちゃオープンにセットします。やわらかいコンディションでプレーするなら、関係ありませんが、かなりフェースをオープンにすると、かなりバウンスを露出させることになります。

ビクトルは現在、かつて使っていたウェッジと同じモデルを使用していますが、以前は58度を60度に曲げていました。クラブをウィークに曲げると(ロフトを寝かせると)、その比率は1:1(ロフトを1度寝かせると、バウンスを1度加える)になります。

そこで、我々は彼に(バウンスを2度増やすことによる)ある程度のプロテクションを与えようとしていたのです。ビクトルが素晴らしいのは、いくらチッピングの調子が悪くても、そのショットから逃げないところです。フェースを思い切り開いてロブショットを打つ必要がある場合、常に「挑戦して打ってみるよ」と言っていました。

彼の名誉のために言っておきますが、それをやるにはかなりの度胸を必要とします。多くの選手は自分自身に「そう、俺は世界最高のボールストライカー(ショットメーカー)の一人なんだ。72ホールで2度、こういうシチュエーションに出くわしたなら、フェースをスクエアにして15~20フィートだけ打って、ボギーとし、次の3ホールでバーディを狙おう」と言い聞かせるでしょう。

彼は常々、チッピングの名手になりたいと思ってきましたし、平均的な腕前で良いとは思わなかったでしょう。だから、よりバウンスの少ないクラブが必要でした。かつての彼のテクニックでは、バウンスを加えることで、彼にプロテクションを与える必要がありました。

今年の「ザ・プレーヤーズ選手権」だったか、あるいはオーガスタ(マスターズ)でのことだったか、我々は彼にこれまでと同じウェッジながら、60度のモデルを渡しました。これでバウンスは2度減ったので、クラブをオープンにする際、地面によりフラットに置くことができるようになり、あなたが動画で見たようなショットが打てるようになりました。

GolfWRX.com:チッピングの問題はどこにあったんでしょう?

オーテス:チッピングであまりにシャロー過ぎると、(一貫して最下部のポイントへ入れることが)難しくなります。彼はちょっとシャロー過ぎましたし、あそこまで行くと、角度に余裕がなくなるので、許されるミスの幅がなくなってしまいます。より角度が急になれば、許されるミスの幅も広くなりますし、最下部のポイントへ上手に入れられるようになります。

GolfWRX.com:パターに関する相談は少ないかもしれませんが、何か面白い話はありますか?

オーテス:ピンの契約選手として、彼がキャリアを通じてほとんど替えていないのがパターです。ずっと同じ物。最もお気に入りの1本です。グリップは1度だけ交換しました。実際、これは最近のことです。それと不幸にも、何年か前にこのパターを壊してしまったので、リシャフトはしました。

これは我々にとって好都合だった部分もあります。と言うのも、当時我々はPLD(パッティング・ラボ・デザイン)を立ち上げたばかりで、今ほど認知されていませんでした。彼はお気に入りだったテーラーメイドのパターを持って来たのですが、我々はそのモデルを出発点としました。彼はピンが作った歴代のパター全てを見て回り、彼が気にいるであろうパターのアイディアを出しました。そうして、あのパターに辿り着いたのです。彼は今後も、あのパター以外のパターでパットをすることはないのでは、と言うのが現時点での私の心証です。

2023年に2500万ドル(36億円)を勝ち取ったことで、バッグに少し余裕はできるかもしれませんがね。

GolfWRX.com:冗談抜きでそうですね。

オーテス:最もクールだと思うのは、彼はプロゴルファーでいるためのプロセス全体に対してどう心掛けているかです。ビクトルは自分の仕事に全身全霊を注いでいます。トレンドや他人のやっていることを気にしたりせず、自分のすべきことに集中します。本当にコツコツ成長する若者で、そこが強みでしょう。見ていて晴れ晴れした気持ちになりますよ。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

情報提供:PGA TOUR

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