池田勇太はドタバタでアトランタ入り
2011年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/11〜08/14 場所:アトランタ アスレチッククラブ(ジョージア州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第八回】
タイガー・ウッズは、なぜ急に調子を落としてしまったのですか?
目に見えない部分では、スキャンダルのメンタル面ですね。ショックだったと思うけど、自分がまいた種だから仕方がないし、きちんと償わなければ次はないと思います。目に見える部分では左膝、左アキレス腱の故障ですね。タイガーは、スイング改造に取り組みはじめたのですが、この故障が原因でスイング改造が進んでいないのが現状です。これまでのスイングとは全く異なるスイング理論に基づいているので、完成までには長い時間が必要なんです。反復練習をしながらマッスルメモリーをしていかなくではできないものなので、全く進んでいないというか…完成が遅れている状態なんですよ。それが今のタイガーにとっては悪循環。復帰できるとしてもしばらく時間がかかると思いますね。
具体的にどのようなスイング改造?
タイガーはこれまで、体重移動を使ったスイングでしたが、その移動を少なくするスイングに改造中です。アドレスで構えた時に、右足に8から9の比率で重心を乗せて、ダウンスイングで左に重心を移動させていました。新しいスイングは、テークバックで体重をあまり右足に移さず、ダウンスイングまでもっていく形ですね。スイング改造だけなら、もっとスムーズにいったかもしれないけど、左膝という爆弾がありますから。それにアプローチ、パターの面で言っても、ショートゲームやグリーン上で見せたミラクルがなくなってしまったことも、これまでのタイガーとは違ってしまったところのように思います。
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過去の偉大なゴルファーと比べても、全盛期のタイガーを有望視されていましたか?
タイガーの全盛期の頃は、群を抜く選手だと思っていました。当時の勢いだったら、今頃はジャック・ニクラウスの生涯勝利数を超えていて、ニクラウスが持つメジャー18勝にも迫っていて、最多勝利のサム・スニードの82勝を目指して頑張っているのかなぁと。でもそうはならなかった。これまでの記録を全部抜くんじゃないかっていうくらい、すごい選手だと思っていましたね。
何がタイガーを変えてしまったのですか?
人生の考え方、ものの価値観でしょうね。それは、こうなってしまったきっかけを自分で作ってしまったこと。ニクラウスがトーナメントで自身の記録を紹介したけど、あらためてニクラウスはすごい選手だと思いました。やっぱり、タイガーはニクラウスを抜けないかもしれない。ニクラウスのように、いかに普通で、平和でトラブルやスキャンダルがなく平凡に生きる難しさ、当たり前なことは、実は当たり前じゃないということを感じましたね。
タイガー・ウッズが抜きんでていると思ったところは?
ゴルフの内容全てですね。飛距離、ボールコントロール、アイアンショットの切れ味、アプローチの勘。ただジャック・ニクラウスの20?30代の時のプレーは見たことがなくて、生で見たのは40歳過ぎてからでしたね。だから本当の全盛期を見てきたわけではないので何とも言えないけど…、タイガーは彼が高校生の時から見てきているけど、なにひとつ、どこをとっても、ほかの誰よりもずばぬけていたことは確かでしたね。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。