マスターズの余韻冷めやらぬ中、今田竜二が出場
2012年 RBCヘリテージ
期間:04/12〜04/15 場所:ハーバータウンGL(サウスカロライナ州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第三十二回】
■ 「RBCヘリテージ」の歴史
1969年に「ヘリテージクラシック」としてスタートし、今年で43年目。1971年「シーパインズヘリテージクラシック」、1987年からMCI、2001年からワールドコム、2006年からベライゾン、今年2012年からRBCが冠となっている。69年の大会スタートから、開催コースはサウスカロライナ州のハーバータウンGLで、別称は“ペブルビーチ・イースト”。このコースは、設計の名匠ピート・ダイとジャック・ニクラスの共同設計で、「これ以上ホールを狭く、グリーンにアンジュレーションをつけたら難しすぎる(ピート・ダイ)」とショットメイキングを試すコースが作られた。
■ 最少パット数の記録が生まれたワケは・・・
ここのホールはとにかく狭いことが特徴だ。エアハザードと言って、シーオーク(Sheoak:モクマオウ科)という木が、ホールをセパレートしており、枝ぶりが非常に良いためにフェアウェイにせり出している。一見、視界は開けているように見えるのだが、地上から約20mという高さが非常に狭くなっており、この高さがまさにボールの高さと同じくらいなのである。そんな景観のホールが続いている。さらにホールは狭いだけではなく、グリーンも小さい。ここはペブルビーチと双璧と言われるくらいで、その面積は約3千スクエアフィート(平均6千スクエアフィートの約半分)なので、ターゲットが非常に小さいのである。それだけグリーンが小さいと当然パーオン率は下がる。パーオン率が下がれば、アプローチで寄せてパーで凌ぐか、あるいはチップインでバーディを狙うしか手はない。今大会は、ほかのPGAツアーとは違ったシーンが多く見られるのも特徴のひとつだ。そんなコースだが、この難易度からパッティングの記録が生まれている。グリーンが小さく、パーオン率が低い、ではどうやってスコアメイクするかというとパット数の勝負となる。これまでの72ホールの最少パット数は「93」という記録で、デビッド・フロストが樹立した。それまでの「94」パット数も同コースで記録されたもの。3番目はマーク・カルカベッキアが、フォレストオークスで打ち立てた記録。そして4番目、5番目は再びここハーバータウンゴルフリンクスで生まれた記録が続く。そういった目ざましい記録も生まれるのがこのトーナメントの魅力でもある。
そんな難易度とは裏腹に、とにかく景観の美しいコースだ。18番の奥は入り江になっており、灯台が見え、その入り江にはヨットマンたちが停泊してトーナメントを観戦するという、日本では考えられない光景が広がる。独特な雰囲気が感じられるトーナメントである。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。