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2012年 BMW選手権
期間:09/06〜09/09 場所:クルーキッドスティックGC(インディアナ州)

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第五十二回】

■ 「BMW選手権」の歴史

1899年から開催され、世界で3番目(「全英オープン」は1860年、「全米オープン」は1895年開催)に歴史のある大会。今年で113年目108回を数える。第一回大会はグレン・ビュークラブで開催され、ウィリー・スミスが74、78の「156」をマークして優勝。この時は参加選手12名、賞金総額$300(優勝は$125)だった。1905年にはアーサー・スミスが初のアンダーパー「278」(6アンダー)を記録。この頃からハスケルボール(糸巻きボール、以前は樹液ゴム製のガッタパーチャ)が使われ始め、スミスの打球は250ヤード近く飛んだと言われる。会場はシンシナティーGCで全長が4600ヤ-ドと短かった。しかしこの記録は1929年トミー・アーマーが「273」で優勝するまで破られることはなかった。

■ WGAとチック・エバンス奨学金

かつては「ウェスタンオープン」と呼ばれていた大会で、アメリカでも3番目に歴史がある。本来はメジャーになってもおかしくない大会で、開催地が大都市でなかったがために、注目度も低く、人々の関心を集めることができなかった理由で、メジャーになりきれなかった大会だ。1899年からスタートし、ウェスタンゴルフアソシエーション(WGA)という、シカゴに本部のあるゴルフ協会(アメリカではUSGAと同じくらいの規模)によって開催されていた。余談だが、1910年、同大会でアマチュアのチック・エバンスが優勝し、もちろんアマチュアで賞金は与えられないのだが、奨学金をつくりたいという希望でその賞金をもとにチック・エバンス奨学金を設立した。中学生や高校生がキャディのアルバイトをして過ごし、大学に行くために奨学金を得る。シカゴの子供たちはそうやって進学していくなど、ゴルフの社会的貢献が隅々に行き渡っている地域である。

■ 開催コースのクルーキッドスティックGC

今年はカリフォルニア州の隣、インディアナ州のクルーキッドスティックGCで開催される。このコースは、ジョン・デーリーが初優勝でメジャータイトルを獲得したコースだ。デーリーが彗星のごとくPGAツアーに存在感を示した優勝だった。ちょうどニック・プライスが、妻の出産が早まり「全米プロ」を欠場する。最後のスタンバイ選手であったデーリーが水曜日に連絡を受け、アーカンソーからインディアナ州までを車で移動した。しかし午前中のスタートには到着が間に合わないことから、午後にスタートを変更する処置がとられ、練習ラウンドもせずに優勝するという奇跡を起こした。キャディはニック・プライスの相棒と言われたジェフ・スクイーキーという名キャディ。そういう歴史の1ページを語るような「全米プロ」が開催されたコースでもある。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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