5年ぶり通算80勝 タイガー・ウッズ“復活”への軌跡
タイガー・ウッズ ナイキヴェイパーとRZNブラックボールをバッグに
By Jonathan Wall, PGATOUR.COM
「ヒーローワールドチャレンジ」で実戦復帰を果たしたタイガー・ウッズが、ナイキの新ヴェイパークラブをバッグに加えた。
用具の変更をあまりしないタイプとして知られるウッズは、ナイキのヴェイパー・スピード・ドライバー(プロトタイプ)、ヴェイパーフェアウェイウッド(3番、5番)、ヴェイパープロブレードアイアン、RZNブラックボール(レジン ブラック ボール)をアイルワースG&CCで使用している。
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正式には開幕後の使用となっているが、ウッズはヴェイパー・スピードのプロトタイプを、月曜に行われたTWチャリティプレーオフで使った。既製品のヴェイパー・スピード・ドライバーと比較すると、ウッズのプロトタイプはヘッドが460ccから420ccへと小さくなっている。これまでウッズが好んでいたようにホーゼルに調整機能はない。
ナイキのコバート・キャビティ・バックデザインが採用され、数年前のナイキVR PRO ドライバーシリーズで見られたコンプレッションチャンネルが再設計され、搭載された。ドライバーのソールに刻まれた溝がフェース全体のスプリング効果を改善させ、特に芯を外した際に効力を発揮する。
コンプレッションチャンネルは、リーディングエッジ寄りに移動。易しさをもたらし、フェースの中心以外で打った場合のボールスピードを上げるため、ヒールとトゥ側に幅広くなっている。
ウッズはドライバーに加え、VR_S コバートフェアウェイウッドの3番と5番から、新ヴェイパー・スピードに切り替えた。
ウッズのフィードバックを参考に、フェースが大きくなり、リーディングエッジがタイトになったことを含めボディも改良された。
ヴェイパー・スピードは、ナイキの前フェアウェイウッドモデルよりもソール部が25%拡大し、重心がより低く、深い位置に変更された。重心を低くすること高弾道と低スピンになるという効果もある。
調整機能の付いていないフェアウェイウッドには、ヴェイパー・プロドライバーと同様に、再設計されたコンプレッションチャンネルと、フライビーム技術が改良されたコバート・キャビティ・バックデザインが搭載されている。
ウッズはアイアンもナイキのヴェイパープロブレードアイアンに変更。現時点では、これまで使用していた3番アイアンからピッチングまでのセットを継続して使用するかは未定だという。ヴェイパーメタルウッド制作の時と同様に、ウッズはヴェイパープロブレードの開発に大きく携わった。
ウッズのナイキVR PRO ブレードアイアンは、デザインだけの製品ではない。ナイキの開発陣は、ここ数年のウッズのアイアンの摩耗部分を研究し、クラブのヒール部分でインパクトをする傾向が強いことを突き止めた。
摩耗部分を、よりフェースの中心部分に移行させるため、ウッズとナイキの開発陣はデザインに関し意見を出し合い、オーガスタでヴェイパーアイアンをローンチするまで何年にもわたり極秘で開発を続けた。
ウッズのVR PRO ブレードアイアンには、トゥに近いヘッド後部にタングステンプラグを入れ、ホーゼルの重量を相殺し、クラブフェースの中心にヒッティングエリアを移動させることに成功した。
ウッズは、今年初めにニューヨークで行われたナイキ関連のイベントに出席した際「重量が調整されたパーツを付けてテストをした時、バランス感覚と、パフォーマンスの安定感が向上しているのを実感した」と話した。
3年ぶりのブレードアイアンとなったナイキのヴェイパープロのヘッドにはタングステンプラグは搭載されていないが、トゥ寄りに重量を置き、重心をフェースの中心に移動させるという基本理念は踏襲されている。
ウッズは今年の初めに新セットを導入する予定だったというが、腰の手術で4カ月の戦線離脱となり、プランの実現には至らなかった。
ウッズは「ナイキが年初には新しいセットを用意してくれることになっていた。1年前のこのくらいの時期に色々と改善を施していたからね。僕が腰を痛めてしまって、手術を受けるようになった。復帰してからも球数に制限があったから、普段ならやるテストもできなかった。それでナイキには『今季はこれまでの物でプレーする』と伝えたんだ」と、事情を説明した。
レジン ブラック ボールへの変更はクラブ変更と同様の効果は得られないだろうが、ここ5年間ナイキのONE ツアー Dを使い続けてきたウッズにとっては、最も大きな変化になる可能性はある。
4ピース構造のレジン ブラック ボールは、ナイキ製品の中で最もスピンを抑えるモデルで、同社のレジン・スピードロックコアテクノロジーが採用されている。見た目がワッフル焼き器のそれに似ているコア表面にあるインターロッキングコアデザインは、1層目と2層目のコアがエネルギーを効率良く伝え、インパクト瞬間に力をよりボールに伝えやすくなった。
ウッズは約1年前にスピンをやや抑えるレジン プラチナム ボールを試したが、最近になってレジン ブラック ボールでボールスピードの改善を実感し、変更を決めた。
これまでと変わらないのは、ナイキのVR PRO ウェッジ(56度と60度)とメソッド001 クラシック ブレード パターのみとなっている。