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【WORLD】理想の“ウィン-ウィン”とは何か？

2011/10/14 08:39

アーロン・バデリーウェブ・シンプソンハンター・メイハンビジェイ・シンビル・ハースルーク・ドナルドゴルフダイジェスト

Golf World（2011年10月3日号） GW bunker text by Bill Fields

ビル・ハースが逆転でツアー・チャンピオンシップ、そして「FedEx Cup」の2冠を制したことは、可能性としては常に保証されていてもおかしくはないことなのだが、実はPGAツアーがプレーオフシリーズに求める結果だったのかもしれない。

ビル・ハースは、ここぞというタイミングでハンター・メイハンとのプレーオフに持ち込み、結果として両タイトルを手にした。こうした光景は、PGAツアーが5年前から始めたプレーオフシリーズでは頻繁にみられるものだ。

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というのも、ツアー・チャンピオンシップの勝者がプレーオフシリーズを制したのは、これで2年連続。そしてプレーオフシリーズ誕生からの5年の間に3度も起こっている。例えば順位の入れ替えや、どれだけの努力を惜しまずにプレーしたということに関わらず、このシステムが情け深い結果を現在のゴルフに与えていることに変わりはない。実際に最終戦前までの成績を振り返ってみると、優勝したハース、そしてメイハンはそれぞれ「FedEx Cup」ランキングで25位と21位。それが幸運にも最終戦で好調を取り戻して優勝争いに食い込めるようになったというわけだ。

結局ハースは総額1,144万ドル(優勝賞金144万ドルにボーナス賞金1,000万ドルを加えた合計)を獲得したが、メイハンとのプレーオフに勝利するまでは、まさか自分がFedEx Cupを獲得するとは想像もしていなかっただろう。

この劇的な結末に変化があったとすれば、以下の2通りのことが起こっていた場合に限る(もっともハースとメイハンがプレーオフでしのぎを削った方がファンは満足していただろうが)。もし、3位タイに終わったルーク・ドナルドが単独3位、もしくは2位以上の成績であれば、「FedEx Cup」獲得が決まっていた。そして最終戦前にランクトップだったウェブ・シンプソン(最終戦22位)は、もしドナルドやチェ・キョンジュ、3位タイに終わったアーロン・バデリー（最終戦前まで27位）が最終戦で優勝していれば、同タイトルが確定していた。

言い換えるとすれば、もし最終戦のポイントがツアー優勝に大きく影響するようなことが無ければ、2008年にビジェイ・シンが最終戦を待たずして「FedEx Cup」優勝を決めていたように、シンプソンの優勝は決まっていたということになる(シンは最終戦22位タイで終了)。変化が多ければ多いほどプレーオフは9月の最終戦になっても盛り上がり、最終戦の大どんでん返しだけに期待がかかるような展開になることもない(先週は大逆転劇となったが)。

こうしたシステムは、例えばマッチプレーやノックアウト方式の導入(もしくは他にツアーを面白くさせるシステムがあれば更に良いが)により変化を与えることが出来るのではないだろうか。他ならぬPGAツアーが大胆な改革に乗り出さなければ、ツアー自体の魅力は消え失せてしまう。「FedEx Cup」の何がそこまで驚くべき点かというと、1000万ドルのボーナスではなく、プレーオフシリーズにすら出場資格の無い126位から150位の選手に3万2000ドルが与えられるということだ。

今後プレーオフシリーズでの改革について、PGAツアーコミッショナーのティム・フィンチェムはアトランタで次のようにコメントしている。「現行のシステムが全てだとは思っていません。まだまだ改善の余地は多いと思います」。しかし、そうは言うものの一向に改善に向けた動きは無い。今回のツアー最終戦でハースが優勝し2冠を達成したことで浮き彫りとなった問題点ではあるが、不利な状況にいる選手が優勝する可能性を失くす変更は慎むべきだろう。

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