J.ワグナーが逆転でツアー3勝目 小田孔明は59位
【WORLD】フィルvsリース 選手とコース設計者の舌戦
Golf World(2011年11月28日号)texted by Leigh Montvolle
シカゴのコグ・ヒルを舞台にPGAツアープロ(特にフィル・ミケルソン)とコース設計者のリース・ジョーンズの舌戦が繰り広げられた。一連のコメントを見る限り、リアリティショーのように不平不満の連続。誰かが脱落させられることもあれば、カーダシアン一家の誰かを逆上させているかのようにも聞こえた。もしくは、主婦が主婦と結託し、違う主婦を蹴落とすような低俗な番組のようにくだらなく、常にあるのは文句、不平、不快なことばかり。これが両者の争いについての感想ではないだろうか。
御年70歳を迎えたゴルフ場設計者のリース・ジョーンズだが、彼は2011年9月15日~18日にコグ・ヒルG&CCで開催されたBMW選手権で批判の矢面に立たされた。同大会に出場したツアープロの大半が、ジョーンズが再設計したコースを気に入らないと評したからだった。
スティーブ・ストリッカーは、コグ・ヒルのオーナーであるジェムセック一家に同情するように、「設計費の払い戻しを要求すべきだ」とコメント。ジェムセック一家は、3年前、メジャー大会招致を目的としたコースの再設計をジョーンズに依頼。しかしストリッカーは「とんだ失敗だよ」と、仕上がりを完全否定している。
フィル・ミケルソンも、「もっと違うコースになっていることを願っていたんだけど」と続けると、「他にもまともな仕事が出来る設計者はいたはず。適任者を選んでいれば、このコースは非常にスペシャルな存在になっていたかもしれないのに」と追い打ちをかけた。更には、「設計と言う点で、私はリース・ジョーンズのコースは好きではないんだ。戦術が無意味なホールもいくつかあるからね」とルーク・ドナルドもコグ・ヒルにNOを突きつけた。
伝説的な設計者ロバート・トレント・ジョーンズの息子であるジョーンズは、別名“オープンドクター”とも言われ、過去に設計したコースで全米オープン7度、全米プロゴルフ選手権7度、ライダーカップ4度、ウォーカーカップ2度、プレジデンツカップ1度と、ビッグイベントが開催されたコースを何度となく設計してきた。また、直近の全米オープン4大会が開催されたコース中3コース(トーリー・パインズ、ベスページ・ブラック、コングレッショナル)の再設計に携わる等、設計者としての腕は誰もが認めるところのはずだった。
ブルドーザーでコースを切り開き、難所を設置し、難易度の高いコースを作り続けたため、ツアープロからの受けは悪く、ハードマーカー、或いは厳しい指導者、必修で無ければ絶対にクラスを取らない教授というレッテルを貼られている。ジェフ・オギルビーも、BMW選手権出場を滑り込みで決めた1週間前「コグ・ヒルで報いを受ける」と、あからさまに同コースをネタとするブラックなジョークを披露。するとジョーンズは、リアリティショーでの辛口コメントで有名なサイモン・コーウェルのように、自分が設計したコースを批判するプロを牽制し始める。
「私が設計したコースを批判するのは、酷いプレーしか出来ないプロばかり」。
ジョーンズが設計したコグ・ヒルは、2009年のBMW選手権開催地となった途端、プロから距離が長い、スコアが伸びない、退屈、バラエティーに富んでいない等の批判を受けた。全米オープンの開催地候補から外れ、BMW選手権も来年からコースを毎年変更すると発表され、当初の目標を達成出来なかったことで、オープンドクターを批判する意見は2011年に入り増加。幸か不幸か、コグ・ヒルには悪評だけが残り、プレーヤーの意見が正しかったと評価されてしまった。
辛辣なコメントで有名なミケルソンは、「このコースでは要求されるようなショットが何も無い。これでは我々の技量を試す場所が無いんだ。グリーンの前は障害物で覆われているし、打てるショットと言えば高く上げるショットだけ。チッピングエリア、グリーン周辺のショット、特定のミスショットによるペナルティ等々、このコースは何一つ計算されたものがない。私はギル・ハンス、クレンショーとクーアのコンビ、カイル・フィリップスとか、もっとコースについて知識がある設計者が携わったコースでプレーしたい」と、辛口な意見を寄せた。
滅多に発言しないストリッカーですら、「見た目には以前よりも大分綺麗なコースになったとは思う」と前置きした上で、「ただ、プレーするという前提で言えば、アベレージプレーヤーには非常に難しいコースだと思うね。それに、大半の選手達は再設計された部分に関して全く関心を持っていない。これまでこのコースで多くの大会が開催されてきたと思うと、変わってしまったコースに失望感しか覚えないかもしれない」と酷評。
ジョーンズも言われているばかりではなく、2011年はじめ、トーリー・パインズ、そして全米プロゴルフ選手権が開催されたアトランタACの変更部分を批判したミケルソンを逆に批判。「ミケルソンは自分に都合の悪い部分だけを並べ立てているだけ」とすると、コグ・ヒルの設計については、「何も話すことはない」とゴルフチャンネルに答え、反論するのを抑えた。
やり玉に挙げられたコグ・ヒルで開催されたBMW選手権の結果を見てみると、ミケルソンは56位タイ、ストリッカーは36ホールを終えた時点で棄権。ルーク・ドナルドは4位、オギルビーは10アンダーとし3位でフィニッシュした。ジョーンズを批判した4選手は、翌週にイーストレークGCで開催されたフェデックスカップランキング30位以内の選手しか出場できない最終戦に出場。ちなみに、イーストレークもまた、ジョーンズが設計したコースであることをお伝えしておくことにする。
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