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【WORLD】“長尺パター狂想曲”の背後にある恩恵
Golf World(2012年1月16日号)GW voices texted by Al Barkow
ツアープロたちがロングパターを使い始めたことを「世紀末のしるし」だと嘆く伝統主義者はメモを取るべきだ。“長い杖”の急増は、レクリエーションでゴルフを楽しむプレーヤーたちにも伝染しているが、崇拝者たちも気付かないような、長期的なプラス効果を持っている。長いパターを使うと、意識をしなくても、ゴルファーは利き手でパットをするようになる。頭脳明晰なゴルフ人たちによれば、これはグリーン上で成功するための基本だという。
左であれ右であれ、利き手はより小さな作業をする時に、一番自然な感覚を与えてくれる。柔らかいトマトを薄切りにする時、暗闇でドアノブにカギを差し込む時、釘を打ち込む時に使う手がそれだ。つまり、この手こそがパッティング・ストロークの距離を調節するにはピッタリなのだ。クロスハンドを除き、もう一方の手は単にクラブを安定させるだけだ。ロングパターのグリップエンドを、お腹、胸、アゴに押しつけると、飛び抜けて安定感のあるクラブとなる(笑わないで聞いてほしい)。だが、隠れたよさはこれじゃない。それは魔法を仕掛ける利き手だ。
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長年ゴルフを熱心にプレーしてきた人たちは、ロングパターが発明された5分後に思いついたゴルフのプレー方法について語り出すだろう。完全にではないが、利き手でのパットは、言葉はそう聞こえるかもしれないが、新しいアイディアではない。私の調査によると、1926年にアメリカで有名なゴルフ一家の一員、ジョー・ターネサは、メトロポリタンPGAで優勝した時に、右手だけでパットした。左手は辛うじて体の脇にぶら下がっていた。1980年代と1990年代に活躍したベテランのツアープロ、マイク・ハルバートは、1995年のシーズンはほぼすべて右手だけのパットで過ごした。その年に優勝はなかったが、ツアーに参戦した中でも好調なシーズンだったという。ターネサとハルバートはこの方法を続けなかった。ターネサにはあきらめた理由を聞くことができなかったが(1991年に逝去した)、ハルバートは仲間のプレッシャーがあり、もう一方の手をクラブに戻したことをほのめかした。
ベン・ホーガンは、パットはゴルフとは別の競技だと考えていたが、パッティングについてほとんど口を開かなかった。だが、1948年に発行された教本「Power Golf」に、パッティングと銘打ったチャプターを執筆している。そのチャプターは短くて、内容の大半は月並みなことだが、パッティングでクラブを握る時は、リバースオーバーラップグリップにし、右手の全指がシャフトに触れるようにして、右手でパッティングすると書いている。つまり、右手は利き手なのだ。
私が前回、タイガー・ウッズがパッティング練習をしているのを見たのは、まだ彼が全盛期のことだったが、少なくとも30分は右手だけでパットしていた。ジャック・ニクラスは、自分のパッティング・ストロークについて「ある意味ボールを押している感じ」と表現している。もちろん、利き手の右手でやっていたのだ。
もちろん、利き手に頼ることが、いま流行っている唯一のパッティング・テクニックではない。他には、ゴルファーたちにクラブを肩だけで動かすように指導するものもある。これは両手(手首)が地面のラインから外れ融通が利きすぎるようになり、意図したストローク軌道をキープしたり、ボールを適切なペースで転がすことが安定してできなくなる。ロングパターはかなり重い道具なので、肩だけを使ってコントロールよくクラブを動かすのは、かなり危ない技になる。それ以上に、肩はクラブに触れている訳ではないので、手と同じような繊細さやタッチを持たない。クラブに触れているのは手だ。
興味深いのは、従来のパターに戻したプロの中には、パットがよくなる人がいる(好例はビジェイ・シン)。これは利き手を再び意識するようになった意図せぬ結果だと思う。
どんなメカニックで練習すればよいのか? 特別複雑なことはない。ロングパター(あるいは普通の長さのパター)を持って、利き手を使ってただクラブを後ろへ引き、前へ押し出すだけだ。信じて欲しい。パットをした時に、ポケットの中のマーカーを探し出すように、カップからボールを取りだすことになるかもしれない。
米国ゴルフダイジェスト社提携
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