【WORLD】ライダーカップ史上最も名高いショットは、実際には打たれたものではない
2012年 ライダーカップ
期間:09/28〜09/30 場所:メディナカントリークラブ(イリノイ州)
【WORLD】欧州選抜の強さの秘密とは/ライダーカップ
Golf World(2012年9月17日号) texted by Cart Sumpson
我々のテーブルで会話が弾んでいた最中、ホテルのGMが現れ、シェフの料理スタイルはフュージョンであり“コンフュージョン(混乱)”ではないとジョークを飛ばすと、広報のスペシャリストであるイザベル・ロペス・パストールがグラスに入ったワインをこぼし、彼女の白いシルクのブラウスにかかった。彼女はシンプルに笑うと、水とナプキンを求めた。それを見た私とファティアは、警官と仮釈放者が目配せを交わすように見合う。すると間もなく、ボルボ・インターナショナル代表の簡単なスピーチが始まり、スウェーデン訛りの英語で「今大会は、我々にとって新記録となる、127大会目にあたるゴルフトーナメントになります」と聞こえてきた。
酒が進むに連れて話題も世界の習慣的行為になると、私はホワイトチョコレートで作られたゴルフボールにピスタチオのアイスクリームがかかったものに手を伸ばそうとしたが、何人かに横やりを入れられてしまった。
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仮にここよりも酷い観客席があるコースがあるなら見てみたい。つまりは見たくはないということなのだが、フィンカコルテシンのせり上がった位置にあるティから拝める景観は、木々や海など、まるでポストカードの景色であり、このコースは一見非常に楽しくプレー出来るように見えるのだが、実際に試合を追ってみると、歩くのが速い人にとっても愚かな産物と言わざるをえない。おそらくコースの3分の1にあたるホールでは、プレーヤー、キャディー、大会審判団が4対6の割合で電動性のカートに守られ怒鳴り散らすだろう。一般ギャラリーは、それだけ狭く、壁に囲まれた道を歩かなくてはならない。その道を形容するとすれば、アトランタにあるロングライアンドのI-20のミニチュア版。ロープや監視者が邪魔でティがほとんど見えない。我々の視界には何も入らず、金属音が聞こえるだけ。空を見上げ、落下したボールを探すことしかできない。
観客は心が広く、ユーモアセンスにも長け、皆それぞれ色鮮やかな服装。しっかりとラッピングされたサーモン、レモン、かぼちゃのように映り、ホットピンクが疲れた目に刺激を与えてくれる。南スペインの寒さ対策として首にセーターを巻いていたが、ルックス的には男女、世代の差に関わらずOKレベルだろう。しかし中年でラファエル・ナダルのカプリパンツを履いていた男性はどうだったか…。私は単に、自分の隣にいた頂けないファッションに身を包んだ観客を吊し上げたかっただけだが、周囲の人と目を合わせ、首を横に振る。セニョール、その格好は頂けない。それは無いよ。
許可をもらった2つのスタンドしか見ていないが、どちらもプライウッドを白いペンキで塗装しただけで、ジュース、ビール、ノンアルコールビール、ポテトチップスを頻繁に勧められた。トイレの数もコースには不足しているというにも関わらずにだ。我々のグループがカミロ・ビジェガスとスネデカーのマッチを見ようとした際、私は尿意を我慢できずトイレに。しかし、そこには選手専用と書かれているだけではなく、ご丁寧にも警備が立っており、それが私を更に失望させた。すると1人の女性がやってきた。すると警備も少し考えた挙句、ようやく使用を認めてくれた。その後セルヒオ・ガルシアが15番ホールのグリーン脇にあるオリーブ、ザクロ、サルスベリ、ローズマリーの木々の中に姿を消したが、彼はボールを探しに行ったわけではない。
しかしながら大会にはスタッフの数が不足している様子は一切なく、警備もいたるところに配置されていた。メディアルームの前には通常3人の警備を配置。しっかりと雇用を生む考えが広がっているのだろう。メディア用のビュッフェ会場前にいるチケットテイカ―がチケットメーカーのすぐそばに立っていたのは滑稽で、彼女は私に紙切れを渡し、そしてまた違う彼女に渡すというおかしな作業をする羽目になった。
しかしコース上のボランティアの数は、人数的にも人口統計的に見てもアメリカでの大会と比べて理想的だった。11番ホールのティで観客をさばいていたバーミンガム出身のバリーという男子学生に話を聞くと、彼は1日にシャツ2枚、上着、帽子、それにプロショップで使用出来る10ユーロが支給され、そのお金はグリーンフィーか飲料水代と相殺が可能だと話してくれた。