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【WORLD】タイガー・ウッズが辿る道

Golf World(2013年1月14日号)texted by Jim Moriarty

2012年のウッズは混迷を極めた。たしかに年間3勝を挙げたものの、優勝した大会の直後に出場した大会では、決まって低迷した。しかしメディアは優勝する度にムクドリのように喚き散らし、ツイッターやブログでも大きな話題となった。

昨年2月に開催された「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」でミケルソンを追ったウッズだったが、最終日に注目を集めるようなポジションを争う準備は整っていなかった。2位に大差をつけて勝利したベイヒルで開催された「アーノルド・パーマー・インビテーショナル」の結果は、オーガスタナショナルでトップを取るには不十分だった。

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「ザ・メモリアルトーナメント」でニクラスの通算勝利数に並び、「全米オープン」でも非の打ちどころのない滑り出しとしたものの、週末には“オリンピッククラブ・アレルギー”が発生。「AT&Tナショナル」では最終日の18番ホールでドライバーを木に当ててでも優勝を記録。しかしロイヤルリザムでは同じドライバーで打つことを好まなかった。オーシャンコース(全米プロ)で躍動したマキロイとは対照的に3流に戻ってしまったウッズは、土曜日の時点で順位を大きく落とし、優勝を決めるよりも、“残りのラウンドを楽しむ”ムードに自分を追いやってしまったのだ。

パインハーストで質疑応答に応じたニクラスは、「今年(2012年)の彼は、メジャー3大会で良いプレーを見せていたが、それは序盤のラウンドでの話。土曜日と日曜日は散々だった。近しい人間は『元のタイガーに戻った』と聞いているし、彼本人は『自分のプレーが出来ない。苦しい』と言っていたらしい。私は本当のことを知らない」と話し、ウッズのスランプについて言及した。

実のところ、ウッズは自分本来のプレーが出来ていなかったと口にしていた。ウッズと長年友人関係にあるジョン・クックは、「人が何故苦しむかと言えば、自分のやっていることを信じていないから。今のタイガーは自分自身を信じている。2012年は勝つ流れに戻す為の段階だった。今年は強烈なメッセージ発する年になる」と話す。

ウッズの指導を行っているショーン・フォーリーは哲学に精通しており、心に沁み込んでしまった問題を克服するのを不可能と言うのではなく、難しいと表現する。「神経心理学者に教えられたことなんだけれど、我々人間の脳は、身についた行動しか取らないらしい。彼の話では、仮に右利きの人に左手でドアの開け方を教えたとする。それを1年も続けると自然とそうするようになる。そして仮に夜中に目が覚めて家が火事になっていたとしたら、どちらの手でドアを開けると思う?」。

つまり、フォーリーはウッズに利き手をスイッチする話を比喩的に使い指導したと仮定できる。彼は語る。「メジャー大会の週末中、私が最も好ましいと思ったことは、まだまだ先は長いという事実だ」。

メジャー通算3勝を記録しているパドレイグ・ハリントンは、ウッズが辿っているような過程に精通しているという。クルックドスティックのロッカールームの角でセラピストによるマッサージを受けながら、彼は綿の詰まったベッドに向かい、うつ伏せのまま次の様に語った。「タイガーはメジャーで良くやったと思う」。ろうそくを1本ずつ吹き消すような呼吸の間隔で話は続き、「どのメジャー大会でも優勝出来るポジションにはいた。つまりこういうことさ。私はトーナメントに出場する選手の中でも、最終日に65と猛チャージをして4位で終わる選手よりも、常に優勝争いの中にいて最終的に20位以内でフィニッシュする選手を好む。選手は戦うこと、負けることを恐れてはいけない。それが2012年のタイガーがまさしく実行したことさ。そうした競争の中にタイガーが入っていかなかった方が心配になるね。争いの輪の中にいなかった、もしくはそういう展開にならなかったことよりもね」。

Golf World(2013年1月14日号)texted by Jim Moriarty

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