松山英樹 開幕2日前に体調不良「もう大丈夫」
2020年 アーノルド・パーマー招待byマスターカード
期間:03/05〜03/08 場所:ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)
“キングの庭”での戦いは「マスターズまであと1カ月」のサイン
ベイヒルクラブ&ロッジ 6番パー5(555yd)
ゴルフ界のレジェンド、“キング”ことアーノルド・パーマーさんが亡くなられたのは、2016年9月25日のことでした。PGAツアーのシーズン最終戦「ツアー選手権」を終えた日の夜、ツアー関係者たちは訃報に接したのです。誰からも愛されたパーマーさんらしく、シーズンが終わるのを待っていてくれたような、そんな感覚に陥ったことを覚えています。
そんなパーマーさんのおひざ元、ベイヒルクラブ&ロッジ(フロリダ州)での「アーノルド・パーマー招待」。4月のメジャー「マスターズ」まであと1カ月ということもあり、選手たちに「このあたりで調子を上げていかないと間に合わない」という焦りにも似た気持ちが生まれがちでもあります。
昨年大会の練習ラウンドでは、ロリー(マキロイ)が見たこともないくらいフラストレーションをため込んでいたのが印象的でした。結果的に彼は年間王者となり、素晴らしいシーズンを送ったわけですが、当時は年明けからPGAにスケジュールを合わせているのになかなか勝てない状況が続いていました。世界のトップを走り続けている選手ですら、「マスターズ」を見据えてナーバスになってもおかしくない時期だということです。
コースは要所要所で池がからみ、特にティショットに対してプレッシャーをかけてきます。ラフも深いですから、いつも以上にティショットがキーとなります。
そこで今週ピックアップするのは6番。555ydのパー5です。前半、このホールでバーディを奪うと、流れに乗ることができます。池越えとなるティショットを左サイドに置ければグリーンもどんどん近くなります。ただその分、池を越えるのは難しくなります。十分に2オン可能な距離ですが、左奥に向かって伸びるグリーンに乗せるためには、縦の距離感、横幅に収める精度、スピンコントロールと3つの要素がそろったショットが必要です。
左の池を嫌って右奥に打った選手には、容赦ない下りのアプローチが待っています。以前、松山英樹選手が右奥の芝が刈り込まれたコレクションエリアからロブショットで“OK”につけたことがありました。その日のベストショットに選ばれるレベルの芸術的な一打が求められる。それほどシビアなシチュエーションなのです。(解説・進藤大典)
- 進藤大典(しんどう・だいすけ)
- 1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。