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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

昨季498バーディは史上最多 “若き鉄人”イム・ソンジェ

イム・ソンジェ(韓国)がPGAツアー出場100試合目となった「シュライナーズチルドレンズオープン」でツアー2勝目を挙げました。初優勝だった昨年「ザ・ホンダクラシック」が50試合目。節目の勝負強さとともに際立つのが、23歳の若さで100試合も出場しているという事実です。

2016年から2シーズンは日本ツアーでプレー。18年に挑戦した米下部ツアーではデビュー戦でいきなり優勝を果たしました。19歳9カ月17日での優勝は元世界ランキング1位ジェイソン・デイ(オーストラリア)の19歳7カ月26日に次ぐツアー2番目の年少記録。アジア勢として初の同ツアー賞金王にも輝きました。

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PGAツアーに昇格した翌年はプレーオフ最終戦の「ツアー選手権」まで生き残るなど、最優秀新人に選出。フェデックスカップレースが導入されて以降、シーズン35試合の出場はルーキー史上最多。早くもタフガイぶりを見せつけていました。

過去3シーズンのうち、2シーズンは全選手でもっとも多くの試合に出場。9月まで行われていた2020-21年シーズンも35試合を戦いました。さらに3シーズン連続1位となったバーディ数は実に498個。これは1980年以降の最多記録でもあるのです。出場試合数が増えれば、比例してバーディ量産のチャンスも増大するとはいえ、体力と技術が伴ってこそ到達できる数字でしょう。

前週「サンダーソンファームズ選手権」から新シーズンをスタート。昨季最終戦「ツアー選手権」から4週ぶりの試合でした。トーナメントが開催されない年末を除けば、これだけ試合に出ない期間が続いたのは米下部ツアーにいたとき以来のこと。本当に頑丈な選手です。

36ホール終了時点でもトップに立っており、今大会が自身4度目。過去3度はいずれも優勝を逃し、トップ10に残ったのも2019年「コラレスプンタカナリゾート&クラブ選手権」(7位タイ)だけと週末にスコアを崩すもろさを見せたこともありました。

今回は攻守にスキがありませんでした。“世界一スロー”とも称される、ゆったりとしたバックスイングから繰り出す正確なショットで最終日は後半13番までに5連続を含む9バーディを荒稼ぎ。4日間トータルでは、ショットの貢献度を示す「ストロークゲインド・ティ・トゥ・グリーン」(+10.488)に加え、サンドセーブ率100%(5/5)、スクランブリング90%(9/10)もフィールド1位。連日伸ばし合いが展開される中、ボギーなしがマシュー・ウルフただ一人だった3日目を「70」で耐えたことも大きかったと思います。

会場のあるネバダ州ラスベガスは寒暖差が大きい時期。朝晩は非常に寒い一方、晴れた昼間は気圧の関係もあって普段の飛距離に比べて3~5%ほど飛びます。そういった状況へのアジャストも難なくクリアしました。日本、米国と海外ツアー出場は150試合を優に超える23歳。若くして蓄積した経験値が、さらにキャリアを豊かにしていくかもしれません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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