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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

いま最も勢いがある男 シェフラーのロールモデルはスピース先輩

いま世界で最も勢いのある選手と言って良いでしょう。スコッティ・シェフラーが一気に世界ランキング1位まで上り詰めました。6週前の「WMフェニックスオープン」でようやく初優勝の壁を破ってからは、まさに破竹の勢い。3週前の「アーノルド・パーマー招待」で2勝目、そして「WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー」で3勝目。本コーナーでも、この短期間で立て続けにシェフラーを取り上げることになるとは思ってもみませんでした(笑)

金谷拓実選手が世界ランクで自身より上位の選手に競り勝っていったように、番狂わせも起きやすいマッチプレー方式。世界ランク5位で大会に臨んだシェフラーも2日目にトミー・フリートウッド(イングランド)に敗れ、後がない状況を乗り越えていきました。

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グループステージ突破をかけたマシュー・フィッツパトリック(イングランド)とのプレーオフは、バーディ分け2回を含む6ホールに及ぶ激闘。決勝トーナメントも1回戦から昨年決勝戦で惜敗したビリー・ホーシェルとのマッチアップ。オールスクエアで迎えた残り3ホールからリベンジを果たし、準々決勝もシーマス・パワー(アイルランド)を撃破。準決勝では2017年大会の覇者で今週負けなしだったダスティン・ジョンソンを相手に、後半4ホール連続で奪われる追い上げを食らいながら前半のリードを生かして逃げ切りました。

そして、19年大会王者のケビン・キズナーとの決勝戦は楽勝と錯覚するほど圧巻のプレー。難しいオースティンCCで5バーディ、ノーボギー(15ホール)と付け入るスキを与えない完勝。地元テキサス大出身の25歳にとって、これ以上ない形でのナンバーワン到達となったのです。

5日間で7マッチを戦い抜く体力面に加え、プレッシャーをものともしない精神面は、まさに世界ランク1位にふさわしいたくましさ。ロリー・マキロイ(北アイルランド)らもスコアを崩す超ハードセッティングのベイヒルを攻略した2勝目を振り返っても、本当に強靭なメンタルの持ち主です。

ロールモデルはテキサス大の先輩に当たるジョーダン・スピース。19歳でPGAツアー優勝を飾り、22歳20日で世界ランク1位となったスピースの背中を見て、若くてもトップレベルに到達できる自信をもらっていたといいます。

あとは、直近5試合で3勝して世界ランク1位に輝いた“スピード感”に本人がどう向き合っていくかが気になるところ。25歳という年齢以上の落ち着きと貫録を漂わせるシェフラーですが、期せずして“本命”となって迎える次週「マスターズ」では想像を絶する重圧に直面するかもしれません。それすらあっさりと乗り越え、とんでもない選手となっていくのか。楽しみが尽きません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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