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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

年間王者と金メダリストがダブルス戦Vから本領発揮へ

ツアー唯一のダブルス戦「チューリッヒクラシックofニューオーリンズ」をパトリック・カントレーザンダー・シャウフェレのペアが制しました。大会レコードの通算29アンダー(259ストローク)で初日から首位を譲らない完全優勝でした。

カリフォルニア州で生まれ育ち、カントレーが30歳、シャウフェレが28歳と年齢も近い2人。2019年「プレジデンツカップ」、昨年「ライダーカップ」と対抗戦でペアマッチが行われたときは必ずコンビを組んでいました。実力、チームワークとも申し分なし。この大会でのタッグは前年(11位)に続く2度目でしたが、“テッパン”の組み合わせだったといえるでしょう。

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初日と3日目がフォアボール(別々のボールでプレーし、良い方のスコアを採用)と2日目と最終日がフォアサム(ひとつのボールを交互に打ってプレー)というフォーマット。特に自分のミスが次に打つパートナーの負担に直結するフォアサムは、技術的にもメンタル的にもひと味違った難しさが出てきます。

僕も何度かダブルス戦のキャディをした経験があります。プレジデンツカップのダブルス戦では、やはり国を背負って戦うような独特のプレッシャーを感じたものです。さらに印象深いのは、松山英樹選手と同い年の石川遼選手が組んだ2016年「ISPSハンダ ゴルフワールドカップ」、松山選手が先輩の谷原秀人選手と一緒に出た17年「チューリッヒクラシック」。

普段は試合が始まれば孤独に戦うプロゴルファーですから、ミスを励ましたり、スーパーショットを褒め合ったり、プレー選択でパートナーの背中を押したりする姿は新鮮です。「これはしょうがない」「いまのショット、ヤバかったね」「ヒデキなら行けるんじゃない?」といった認める者同士のやり取りが結束を強め、お互いの力を引き出していくこともあるのです。

昨季年間王者のカントレーは年明け1月からの出場でコンスタントに上位へ食い込んでいたものの、これが昨年9月「ツアー選手権」以来の優勝。「東京五輪」金メダリストのシャウフェレも、PGAツアーでのタイトルは19年「セントリートーナメントofチャンピオンズ」から遠ざかっていました。

いつものストロークプレーであれば、勝負どころでピンをアグレッシブに攻め切れなかったり、グリーン上でタッチが弱くなったりする場面が出てもおかしくない中、スキを見せずに逃げ切りV。特にカントレーのどこからでも決めてきそうなパッティングの雰囲気は、神がかっていた昨季のプレーオフシリーズを彷彿とさせるものでした。シャウフェレも「マスターズ」での初めての予選落ちからカムバック。本コーナーでも再三触れてきたように、選手にとっては優勝という成功体験がなによりの自信と勢いを生みますから、この先のシーズン中盤戦で本領発揮となりそうな気配が漂っています。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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2022年 チューリッヒクラシックofニューオーリンズ



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